看護師のファーストレベル研修とは?研修を受けるまでの流れや費用、難易度を解説

「ファーストレベルは誰でも受講できるの?」「看護師長からファーストレベルを受講するように勧められたけど、仕事と両立できるか不安…」

看護師として管理職を目指し始めたばかりの方ほど、このような疑問を抱くものです。医療現場でリーダーシップを発揮し、質の高いケアを提供したいと考える看護師にはファーストレベルの受講がおすすめです。

看護師のファーストレベルの内容や受講資格、費用、受講までの流れを分かりやすく解説します。記事を読み終わるころには、「自分がいつ・どこで・どう受講すればよいか」をイメージできるようになります。

目次

看護師のファーストレベルとは?

看護師のファーストレベルとは、日本看護協会が定める認定看護管理者になるための第一段階の教育課程です。正式には「認定看護管理者教育課程ファーストレベル」と言います。

認定看護管理者の教育課程

認定看護管理者とは、多様なヘルスケアニーズに対応できる組織づくりや、看護の質向上に取り組む管理者のことです。その育成には以下の3段階の研修が設けられています。

段階主な対象者目的
ファーストレベル主任候補や管理職を目指す看護師管理の基礎知識や態度の習得
セカンドレベル看護師長クラス看護単位のマネジメント能力の強化
サードレベル看護部長クラス組織全体のマネジメント

参考:認定看護管理者|公益社団法人 日本看護協会

各段階は順番に修了する必要があり、ファーストレベルを修了しなければセカンドレベルには進めません。段階を追うごとに学習内容の専門性と難易度が上がります。なお、日本看護協会の調査によると、サードレベルを修了して認定看護管理者として登録している看護師は全国で5,727名(2025年12月時点)います。

ファーストレベルの位置づけと目的

ファーストレベルは、管理職のスタートラインの研修であり、スタッフとしての視点から、チームや組織を動かす管理者の視点へと切り替えることが目的です。

例えば、インシデントが減らない原因をスタッフの注意不足と捉えていた受講者が、研修後には報告しやすい環境づくりや業務フローの見直しという解決策を考えられるようになったという声があります。

現場での経験をもとに、看護管理に必要な知識やスキル、態度を体系的に学べるのがファーストレベルです。

看護師はファーストレベルを受けるべき?知っておきたいメリットと注意点

看護主任や看護師長など管理的役割を目指すなら、早い段階で受講しておく価値があります。ただし、費用や負担も伴うため、メリットと注意点を把握した上で判断する必要があります。 

受講するメリット

ファーストレベルを修了すると、昇進要件を満たすだけでなく、業務での判断や後輩への関わり方にも変化が生まれます。主なメリットは以下の3点です。

  • 管理職昇進の要件を満たす
  • マネジメントの視点が身につく
  • 他施設の看護師との横のつながりができる

異なる環境で働く仲間との出会いは、修了後も悩んだときに相談できたり、他施設の取り組みをヒントに職場の改善につなげたりできます。

受講するデメリット・注意点

メリットがある一方で、受講前に現実的な負担も把握しておくことが大切です。準備不足のまま申し込むと、職場や家庭との関係に支障をきたす恐れがあるため、以下の3つに注意しましょう。

  • 研修と仕事を並行するため体力・時間的な負担が大きい
  • 受講料や交通費など、まとまった費用がかかる
  • 修了が昇進を保証されるわけではない

ただし、いずれも事前の準備と職場への相談で対処できるものばかりです。特に費用については給付制度や職場の補助制度を活用することで、負担を軽減できます。

看護師のファーストレベルの受講資格・費用・受講期間

看護師のファーストレベルの受講資格や費用などを詳しくご紹介します。必要な情報を確認して、手続きをスムーズに進めましょう。

受講資格

看護師のファーストレベルを受講するための要件は次のとおりです。

  • 日本国の看護師免許を有する者
  • 看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者
  • 管理業務に関心がある者

看護主任や看護師長などの管理職でなければ受講できないと思っている方もいますが、それは誤りです。実務経験が5年以上あれば役職に関係なく受講できるため、幅広い年齢層の方が参加しています。

受講のきっかけはさまざまで、自ら志願する方もいれば、看護師長から声をかけられて受講を決める方もいます。看護師長から声をかけられた方も前向きに検討してみましょう。

費用

ファーストレベルを受講するためにかかる費用の目安は、次の表のとおりです。

項目費用
受講料・日本看護協会会員は138,500円(税込)・非会員は277,000円(税込)
修了証明申請料17,500円(税込)

看護師のファーストレベルにかかる費用は、教育機関によって異なります。目安は次の表のとおりです。

参考:日本看護協会認定看護管理者教育機関 令和8年度 認定看護管理者教育課程|公益社団法人 東京都看護協会

これらの費用に加えて、教育機関までの交通費やテキスト代、受講中の昼食代などがかかります。遠方から参加する場合は、宿泊費も考える必要があり、総額20~30万円以上になることも珍しくありません。

ただし、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付制度」を申請すると、修了後に受講料の 50〜70%が支給される可能性があります。さらに、職場によっては研修費用をサポートする制度を設けているため、就業規則や福利厚生の規定を確認したり、人事担当者に相談したりすることをおすすめします。

受講期間

受講期間は、教育機関ごとで異なりますが、おおよそ2〜3か月です。

例えば、東京都の看護協会では、2026年5月1日〜6月24日と約2か月間にわたっておこなわれる予定です(2026年の研修予定)。研修時間は、6科目で180時間で、そのうち約45時間はグループワークやディベートなどの演習形態での講義が含まれています。

受講期間や具体的なスケジュールは、教育機関や年度によって変わるため、各都道府県の看護協会や看護系大学などの教育機関のホームページから最新の情報を確認するようにしてください。

看護師のファーストレベルを受けるまでの流れ

ファーストレベルの申込みから受講開始までの一般的な流れは以下のとおりです。

内容ポイント
1教育機関のホームページで募集要項を確認開催時期・定員をチェック
2職場の上司・人事へ相談勤務調整や費用補助の有無も確認
3受講要件証明書を職場に記載依頼準備に2〜4週間かかるため優先して準備
4課題レポートを作成・準備選考の合否を左右する最重要書類
5書類を郵送で提出ホームページ申込み+郵送が多い
6書類審査数週間〜数か月かかる場合あり
7合否通知を受取不合格の場合、次回募集を確認
8受講料を納付給付制度を使う場合は事前申請
9受講開始講座の日程やレポート提出日を把握

ファーストレベルの受講の可否は、受講前の課題レポートにより決まります。特に受講要件証明書は職場への記載依頼から手元に届くまで時間がかかるため、締切の2か月以上前には動き始めましょう。

看護師のファーストレベルで学ぶこと

ファーストレベルでは、看護管理の基礎となる以下の6つの科目を学びます。

科目学習内容
ヘルスケアシステム論Ⅰ医療制度や保険制度、政策動向など、医療現場の背景となる社会・医療環境の基礎を理解する
組織管理論Ⅰ組織の構造や機能、リーダーシップについて学び、スタッフの行動を組織の視点から捉え直す力を養う
人材管理Ⅰスタッフの育成・評価・動機づけに関する知識とスキルを習得する
資源管理Ⅰ人・物・費用・情報の有効活用を学び、病棟運営に必要なコスト意識や物品管理の考え方を深める
質管理ⅠPDCAサイクルを活用した看護の質向上のプロセスや、インシデント対応・医療安全の視点を学ぶ
統合演習Ⅰ5科目の学習内容を統合し、グループワークやディベートを通じて実践的なスキルが身につく

6科目には、それぞれ課題レポートが課されており、すべてに合格することで研修を修了できます。

修了後は、実践の場で看護管理者の視点で業務に取り組めるようになり、チーム医療の質の向上や、他の看護師への指導に活かせます。

看護師のファーストレベルの合格率と難易度

ファーストレベルの合格率は公表されていません。ただし、修了には以下の2つが求められるため、難易度は高いと言えます。

  • 各科目のレポート評価がC以上
  • 各科目の所定時間数の4/5以上の出席

受講した看護師の多くが「想像以上にハードだった」「精神的にしんどかった」と振り返るのが実情です。

例えば、勤務後にレポートに取り組み、土日は講義を受けるという生活が2~3か月続きます。さらに、採点結果の通知は1か月ほど待つケースもあり、体力的にも精神的にも負担が大きくなり、途中で受講を断念する人もいます。

スケジュール管理と早めのレポート着手が修了には必要です。提出前には看護師長や教育担当者に読んでもらう方もいます。

看護師のファーストレベルに関するQ&A

看護師のファーストレベルについて、受講を検討している方から寄せられる質問や疑問を中心にわかりやすく回答します。

Q1:病棟勤務で忙しくてもファーストレベルを受講できますか?

看護師の多くは、病棟勤務を続けながら研修を受講しています。

しかし、約180時間の研修と6科目のレポート作成が必要なため、勤務調整は不可欠です。夜勤免除や休日調整など、受講前に看護師長や人事担当者と相談しておくと無理なく取り組めます。

Q2:看護師ファーストレベルの課題レポートは難しいですか?

レポート作成に慣れていないと、難しく感じる方が多いのが現状です。

レポートは、学んだ理論を自分の職場の課題に結びつけて記述することが求められます。実際にD評価となり、追加履修が必要になるケースもあります。

対策としては、早めに取りかかること、提出前に第三者に読んでもらいフィードバックをもらうことが有効です。

Q3:研修内容は教育機関によって変わりますか?

大枠のカリキュラム基準は日本看護協会に定められていますが、以下は教育機関によって異なります。

  • 研修スケジュール(平日集中型か、土曜開催ありか)
  • 講義方式(対面のみか、オンライン併用か)
  • 演習スタイル(グループワークの比重や進め方)
  • 指導方法(講師の専門領域や教え方)

「平日に休みが取りにくい方は土曜開催のある教育機関」「遠方の方はオンライン対応が充実した教育機関」というように、自分の働き方や生活環境に合った場所を選ぶことが大切です。

Q4:ファーストレベルはオンラインで受講できますか?

教育機関によっては、一部または全ての講義をオンラインで受講可能です。

近年は、eラーニングやライブ配信を組み合わせた講義形式が増えており、働きながらでも学びやすくなっています。

ただし、オンライン対応の範囲は講義のみなのか、演習も実施しているのかなど、教育機関で異なります。通勤時間や宿泊の有無にも関わるため、申込み前に公式要項を確認しておきましょう。

ファーストレベルで看護管理の視点を身につけよう!

ファーストレベルは、看護管理者を目指す人が必要な知識やスキル、心構えを身につけられる研修です。

修了後は現場での課題解決の方法が変わり、チームや後輩への関わり方にも変化が生まれます。修了後に「もっと早く受ければよかった」「学んだことをすぐに現場に活かせる」と口にする受講者が多いのも、それだけ得られるものが大きい研修である証と言えるでしょう。

まずは勤務先の上司への相談と、希望する教育機関の最新募集情報の確認から始めてみてください。

<参考サイト・文献>

認定看護管理者|公益社団法人 日本看護協会

認定看護管理者登録者数|公益社団法人 日本看護協会 

日本看護協会認定看護管理者教育機関 令和8年度 認定看護管理者教育課程|公益社団法人 東京都看護協会

教育訓練給付制度|厚生労働省

認定看護管理者カリキュラム基準【ファーストレベル】|公益社団法人 日本看護協会

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