看護師のファーストレベル研修とは?研修を受けるまでの流れや費用を解説

「ファーストレベル研修は誰でも受講できるの?」「ファーストレベル研修を受けたいけれど、仕事と両立できるか不安…」

看護師として管理職を目指し始めたばかりの方、今後のキャリアプランを検討中の方は、このような不安を感じているのではないでしょうか。

医療現場でリーダーシップを発揮し、質の高いケアを提供するために、看護管理者の育成は不可欠です。看護師のファーストレベル研修は、その第一歩となります。

看護師のファーストレベル研修の内容や受講資格、費用、そして受講までの流れを分かりやすく解説します。漠然と抱いていた管理職へのキャリアアップのイメージが明確になり、ファーストレベル研修を安心して受講できるでしょう。

目次

看護師のファーストレベル研修の目的はリーダーシップとケアの質を高めること

看護師のファーストレベル研修は「認定看護管理者」として活躍するために、「専門職として必要な管理の知識やスキル、態度を身につけること」を目標とします。

認定看護管理者になるためには、ファーストレベルから始まり、次の3段階の研修を修了する必要があります。

  • ファーストレベル
  • セカンドレベル
  • サードレベル

これらの研修は、看護系大学や都道府県の看護協会などの指定された教育機関で受講できます。ファーストレベルの修了要件をクリアすると、セカンドレベル、サードレベルへと進むことができます。

看護師のファーストレベル研修の受講資格と費用

ここでは、看護師のファーストレベル研修の受講資格や費用などを詳しくご紹介します。事前に必要な情報を確認して、手続きをスムーズに進められるようにしましょう。

看護師のファーストレベル研修の受講資格

看護師のファーストレベル研修を受講するための要件は次のとおりです。

  • 日本国の看護師免許を有する者
  • 看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者
  • 管理業務に関心がある者

看護師としての経験年数が5年あると受講できるとされているため、看護主任や看護師長といった役職がない方でも受験できます。実際、これから管理職者を目指す方も参加しています。

ただし、ファーストレベル研修を受講するためには、スキルや経験が必要です。一般的には、看護師長から「研修受けてみない?」と声をかけられる看護師10年目くらいで受講するケースも多いようです。

また、研修期間中は土日祝日の勤務や、夜勤を調整してもらうなど職場の配慮が必須となるため、看護師長や人事課に相談して理解してもらってから申し込みましょう。

看護師のファーストレベル研修の費用

看護師のファーストレベル研修にかかる費用は、教育機関によって異なります。目安は次の表のとおりです。

項目費用
受講料・日本看護協会会員は121,000円(税込)
・非会員は242,000円(税込)
修了証明申請料16,500円(税込)

参考:日本看護協会認定看護管理者教育機関 令和 6 年度 認定看護管理者教育課程|東京都看護協会

これらの費用に加えて、看護師のファーストレベル研修を受ける際には、教育機関までの交通費やテキスト代、受講中の昼食代などがかかります。

遠方から参加する場合は、宿泊費も考える必要があるでしょう。

また、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付制度」の指定研修であれば、修了後に受講料の 50%〜70%が戻ってくる可能性があるため、費用負担を軽減できます。さらに、所属している職場によっては費用をサポートする制度があるため、一度、就業規則を確認することをおすすめします。

看護師のファーストレベル研修を受けるまでの流れ

ここでは、看護師のファーストレベル研修を受けるまでの流れを紹介します。

看護師のファーストレベル研修の可否は、提出する課題レポートの判定により決まります。判定の結果は教育機関から通知があり、期間は数ヶ月になる場合もあります。

受講の申込みはホームページからできますが、受講要件証明書や課題レポートなどの書類は郵送手続きが必要です。

特に、受講要件証明書は職場に記載を依頼するため、準備に時間がかかるケースが多く、余裕を持って準備を進めましょう。

看護師のファーストレベル研修の受講期間

看護師のファーストレベル研修を受講する期間は、教育機関ごとで異なります。

例えば、東京都の看護協会で2025年度分の研修を受ける場合は、2025年5月10日~6月12日約2ヶ月間にわたっておこなわれます。

研修時間は、6科目で180時間です。そのうち、演習形態でおこなわれる講義が約45時間含まれています。

受講期間や具体的なスケジュールは、教育機関や年度によって変わります。受講を希望する場合は、各都道府県の看護協会や看護系大学などの教育機関のホームページから最新の情報を確認するようにしてください。

看護師のファーストレベル研修で学ぶこと

看護師のファーストレベル研修で学ぶ科目は次のとおりです。これらの科目は、看護管理者の基本的な知識やスキルを学べます。

  • ヘルスケアシステム論Ⅰ
  • 組織管理論Ⅰ
  • 人材管理Ⅰ
  • 資源管理Ⅰ
  • 質管理Ⅰ
  • 統合演習Ⅰ

6つの科目には、それぞれ課題レポートが課されています。レポート作成は、学習内容の理解を深めたり、論理的な思考力や問題解決能力を養ったりすることが目的です。

このレポートは一つひとつ審査され、6つすべて合格することで研修を修了できます。

研修修了後は、実践の場で看護管理者の視点で業務に取り組めるようになり、チーム医療の質の向上や、他の看護師への指導に役立てることができます。

看護師のファーストレベル研修の合格率と難易度

看護師のファーストレベル研修の合格率は公表されていません。次の修了要件を満たせないと、不合格になる可能性があります。

しっかりと学習に取り組み、レポートを作成できれば合格できるでしょう。

ただし、6つの科目の課題レポートについて、そのうち1つでも要件を満たせない場合、不合格となる恐れがあります。また、現職の勤務を続けながらレポート作成や、グループワーク、ディベートなどの課題に取り組まなければならないため、難易度は高いと言えます。

レポートの合格基準も明らかにされていないため、不安を感じている方もいる現状です。

下記のページでは、看護師のファーストレベル研修を受講修了しており、監査やファクトチェックを務めている看護師の添削を受けられます。レポートの成果に不安がある方は、サービスをぜひ活用してみてください。

看護師のファーストレベル研修に関するQ&A

ここでは、看護師のファーストレベル研修について、受講を検討している方から寄せられる質問や疑問を中心にわかりやすく回答しています。

Q1:ファーストレベル研修は忙しい病棟勤務でも受講できますか?

A.看護師の多くは、病棟勤務を続けながら研修を受講しています。

しかし、約180時間の研修と6科目のレポート作成が必要なため、勤務調整は不可欠です。夜勤免除や休日調整など、受講前に看護師長や人事担当者と相談しておくと無理なく取り組めます。

Q2:ファーストレベル研修とセカンドレベル研修の違いは何ですか?

A.ファーストレベル研修は「基礎的な管理知識・態度の習得」が目的であり、主に主任候補や管理職を目指す段階の看護師が対象です。

一方、セカンドレベルはファーストレベル研修を終了している方が対象であり、「看護単位を管理する能力」の育成が目的となるため、学ぶ内容の専門性・難易度が上がります。

Q3:どの教育機関で受講しても研修内容は同じですか?

A.大枠のカリキュラム基準は日本看護協会が定めていますが、以下は教育機関によって異なります。

  • 研修スケジュール
  • 講義方式
  • 演習のスタイル
  • 指導方法

そのため、「働き方との相性」や「講義形式」を比較して選ぶことが大切です。

Q4:ファーストレベル研修を途中で辞退した場合、受講料は返金されますか?

A.多くの教育機関では返金不可です。

ただし、「受講開始前のキャンセルには対応」「一部返金制度あり」などの規定がある教育機関もあるため、申込み前に要項を確認することをおすすめします。

Q5:ファーストレベル研修はオンラインで受講できますか?

A. 教育機関によっては一部または全ての講義をオンラインで受講可能です。

近年は、eラーニングやライブ配信を組み合わせた講義形式が増えており、働きながらでも柔軟に学べるようになっています。

ただし、オンライン対応の範囲(講義のみ/演習も実施)、レポート提出方法(紙・オンライン)などは教育機関で異なり、オフラインでも数日間の対面参加が必要な場合もあります。

オンライン対応の有無は学びやすさに影響するため、申込み前に公式要項を確認しましょう。

ファーストレベル研修で看護管理の視点を身につけよう!

看護師のファーストレベル研修は、看護管理者になるための第一歩であり、専門職として必要な管理にかかわる知識やスキル、心構えを身につけられる研修です。

ただし、研修を受講するためには課題レポートの審査に合格しなければなりません。さらに、受講後も6科目それぞれの教科でレポートの課題が基準に達していなければ研修を修了できない可能性があります。

看護管理の基礎を学ぶことで、自己成長が期待できるだけではなく、チーム医療やほかの看護師のスキルアップにも貢献できます。

今回の記事を参考にして、看護師のファーストレベル研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか。

<参考サイト・文献>

日本看護協会認定看護管理者教育機関 令和 6 年度 認定看護管理者教育課程|東京都看護協会

教育訓練給付制度|厚生労働省

認定看護管理者カリキュラム基準【ファーストレベル】|日本看護協会

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