看護師のファーストレベル研修が「しんどい」と感じる理由とは?乗り越え方を経験者が解説

「ファーストレベル研修がしんどい」「受講してみたものの、想像以上につらい」

このように感じている看護師も多いのではないでしょうか。ファーストレベル研修とは、看護師がマネジメントの視点を身につけるための認定看護管理者教育課程の入り口にあたる研修です。仕事を続けながら課題レポートや研修に取り組む必要があり、負担を感じやすいのが現状です。

この記事では、ファーストレベル研修が「しんどい」と感じられる理由と、実際に乗り越えるための具体的な工夫を、研修を修了した看護師の視点から解説します。ファーストレベル研修を「しんどい」と感じる看護師は少なくありませんが、事前に負担の大きい場面を知り、対策しておけば乗り越えることは十分可能です。

目次

看護師がファーストレベル研修を「しんどい」と感じる主な理由

ファーストレベル研修がしんどいのは、一つの理由ではありません。仕事を続けながら学ぶため、時間・課題・人間関係など複数の負担が重なりやすいことが原因です。同じように感じている受講生は少なくありません。

仕事と学業の両立で時間の余裕がなくなる

勤務を続けながら研修に通うことで自由な時間が大きく減ることが、しんどさの要因になります。

日勤や夜勤をこなしたうえで、講義の予習復習や課題レポート作成の時間を確保しなければならず、休憩時間や夜勤明けの数時間を執筆にあてる受講生も珍しくありません。実際に、夜勤明けは「帰宅して寝る」か「レポートを書く」かの二択になったり、リーダー業務の日は帰宅後にレポートを書く気力が残らない日もあったりしました。

プライベートの予定はもちろん睡眠時間まで削らざるを得なくなり、疲労が抜けないまま次の勤務に入る悪循環に陥りやすくなります。

課題レポートのハードルが高い

現場感覚だけでは対応しきれない課題レポートの難しさも、しんどさの要因です。

日々のケアで実感している困りごとを「大変だった」で終わらせず、組織運営や人材育成といった管理者の言葉に置き換えて説明する必要があります。「看護経験があるから書ける」と思っていたのに、看護記録やインシデントレポートとはまったく違う書き方を求められ、戸惑う人は少なくありません。

何度書き直しても評価されている手応えを感じられず、提出直前になって全面的に書き直すことになったというケースもあります。

使い慣れない理論・フレームワークの理解に苦労する

ファーストレベル研修では、臨床で培った経験だけではレポートをまとめられず、多くの看護師がつまずきます。患者さんへの看護実践ではなく、組織運営や人材育成といった管理者の視点で考えることが求められるためです。

例えば、「SWOT分析」「リーダーシップ論」「組織論」は講義では理解できても、病棟の状況に当てはめてレポートを書くことに難しさを感じがちです。

そのため、「何を書けばよいのか分からない」と手が止まり、レポート作成が思うように進まなくなることがあります。

職場の理解や協力を得にくい場合もある

職場が研修に理解を示していても、十分な勤務調整が難しく、時間外で課題や学習を進めなければならないことがあります。

厚生労働省の調査では、80.5%の看護師が超過勤務を経験しており、その超過勤務には業務で義務付けられた研修や学習も含まれています。このように、多くの看護師が通常業務に加えて研修へ取り組んでいるのが現状です。

そのため、勤務後や休日にレポートを作成したり、講義内容を復習したりする生活が続き、心身ともに負担を感じやすくなります。周囲へ相談しづらい環境では、一人で抱え込みながら仕事と研修を両立することになり、しんどさがさらに大きくなるでしょう。

昇進・評価につながるというプレッシャー

管理職候補として研修へ参加する看護師ほど、「期待に応えなければ」というプレッシャーを感じやすくなります。

ファーストレベル研修は、主任や師長候補として受講を勧められるケースも多く、「職場から選ばれた以上、良い成績で修了したい」と考える看護師は少なくありません。また、施設から受講費を補助してもらっている場合は、「費用を負担してもらった以上、途中で投げ出せない」という責任感を抱く人もいます。

実際に、筆者の周りにも、「職場から送り出してもらった以上、中途半端な結果では帰れない」と話す受講生がいました。そのため、レポートや修了試験に必要以上の完璧さを求めてしまい、思うように進まないことが精神的な負担につながることがあります。

特に、これから受講を検討している方や、申し込みまでの流れ・費用がまだよく分かっていない方は、研修の概要をまとめた以下の記事も参考にしてください。

ファーストレベル研修で特に「しんどい」と感じやすい場面

しんどさは研修期間を通して一様にあるわけではなく、特定のタイミングで強くなる傾向があります。

研修序盤

研修が始まったばかりの時期は、慣れない管理理論やレポートの書き方に戸惑い、「このやり方で合っているのか」という不安を抱えやすいタイミングです。

オリエンテーションで研修の流れをつかめても、実際に課題に取りかかると、何を書けばよいか分からず手が止まることも少なくありません。

初回のレポートは書式や引用のルールも初めてで、内容以前の部分でつまずいてしまうこともあります。周囲の受講生がどれくらい進んでいるのか分からず、自分だけ遅れているように感じてしまう人もいます。

課題レポートの提出直前

課題レポートの締め切りが近づくタイミングは、多くの受講生がしんどさを強く感じる場面です。仕事を終えてから深夜にかけてレポートに向き合う日が続き、寝不足のまま翌日の勤務に入ることも珍しくありません。

期限に追われる焦りと、内容にまだ自信が持てない不安が重なり、精神的な負荷が一気に高まりやすい時期といえます。

特に、「レポートが思うように書けない」「このままでは不合格になるかもしれない」と不安を感じている方は、レポートでつまずきやすい理由や合格するためのポイントをまとめた以下の記事も参考にしてみてください。

演習・グループワーク期間

対面での演習やグループワークが集中する期間も、精神的・体力的な負担を感じやすい場面です。

慣れない土地への移動や長時間の演習に加え、初対面の受講生との意見のすり合わせや発表・ディスカッションへの緊張も重なり、体力・気力ともに消耗しやすくなります。

また、ディベートやグループワークでは、メッセージアプリで受講生同士が資料の共有や役割分担について連絡を取り合う機会も増えます。勤務後や休日までやり取りが続くこともあり、研修から離れる時間を確保しにくいと感じる人も少なくありません。

しんどさを乗り越えるための具体的な対処法

しんどさそのものをゼロにすることは難しくても、負担を減らす工夫はできます。

スケジュールを先に決めて逆算する

課題の提出期限やスクーリングの日程が分かった時点で、いつまでに何を終わらせるかを先に決めておくと、直前で慌てる状況を減らせます。

1週間ごとの目標に落とし込んでおくと、勤務シフトの合間でも進捗を確認しながら取り組めます。

直前に慌てて着手するほど負担も焦りも大きくなるため、早めの逆算が効果的です。

職場・家族に協力を依頼する

勤務調整や家事・育児の分担について、早めに周囲へ相談しておくことで、まとまった学習時間を確保しやすくなります。

上司には休暇希望を早めに伝え、家庭内では課題に集中したい期間だけでも役割分担を見直しておくと、直前になって慌てる場面を減らせます。

一人で抱え込む前に、協力をお願いするという選択肢を持っておくことが大切です。

一人で抱え込まず受講生にコツを聞く

課題の内容や書き方について、自分だけで悩み続けると視野が狭くなりがちです。

同じ研修を受けている仲間や、管理職経験のある職場の先輩に途中経過を見てもらうだけでも、思わぬ気づきを得られることがあります。

相談できる相手をあらかじめ作っておくことで、行き詰まりを早い段階で解消でき、一人で抱え込む時間そのものを減らせます。

「完璧」を目指しすぎない

初めから完成度の高いレポートを書こうとすると、かえって手が止まりやすくなります。

一度で高評価を取ろうとするほど書き進める勇気が持てなくなるため、まずは形にしてから講師や周囲の指摘を受けて磨いていく進め方のほうが、結果的に負担を軽くできます。

完璧な一稿より、提出できる状態に仕上げることを優先しましょう。

ファーストレベル研修の先生を頼りにする

研修の講師は、提出前の個別相談やメールでの質問を受け付けてくれる可能性があります。

実際に、「テーマの捉え方がずれている」「その内容なら人的資源管理より質管理の科目に近い」など、方向性を指摘してくれることもあります。

自己流で書き進めて提出直前に大きく書き直すよりも、骨子の段階で一度講師に見てもらったほうが、結果的に手戻りは少なくなるでしょう。

遠慮せずに質問することも、研修を乗り越えるための立派な工夫です。

しんどさを感じながらもファーストレベルを乗り越えた経験

筆者は2019年にファーストレベル研修を修了しました。集中治療室・心臓血管外科で14年の臨床経験がありましたが、それでも研修は決して楽なものではありませんでした。

現場での勤務を続けながらの課題提出は、体力的にも時間的にも余裕がなく、レポートに向き合う気力を保つこと自体が大変な時期もありました。

それでも乗り越えられたのは、締め切りから逆算して早めに手をつけたことと、分からない部分を一人で抱え込まず、講師や受講生に相談する姿勢を持てたことが大きかったと感じています。

看護師のファーストレベル研修の「しんどい」に関するよくある質問

ここでは、看護師のファーストレベル研修の「しんどい」に関するよくある質問についてQ&A形式で回答します。

Q1.しんどいと感じたら、途中でやめてもいい?

しんどいと感じたら、一人で抱え込まず、まずは研修先の先生や職場の上司へ相談しましょう。

ファーストレベル研修は期間が短いため、原則として休学制度は設けられていません。ただし、休学や退学の扱いは研修機関によって異なります。

そのため、体調や家庭・仕事の状況に応じて、どのような選択肢があるのかを確認することが大切です。

Q2.働きながら研修のしんどさを乗り越えられる?

働きながらでも十分に乗り越えられます。実際に、多くの受講生が日勤・夜勤をこなしながら研修を修了しています。

負担が大きいのは事実ですが、提出物のスケジュールを早めに把握し、職場や家族の協力体制を整えることで両立している人は少なくありません。無理のない範囲で計画を立て、頼れる人には早めに頼ることを意識しましょう。

Q3.しんどさを感じるのは自分だけ?

しんどさを感じるのは、決して自分だけではありません。

集中治療室のような忙しい部署で長年勤めてきた人でも、レポート作成や慣れない理論の理解には苦労するのがよくあることです。管理職を目指す多くの看護師が、同じような壁にぶつかりながら研修を乗り越えています。

同じ立場の受講生と話してみると、その実感がより強くなるはずです。

Q4.しんどいと言われるのに、受講する動機は何ですか?

しんどさ以上に「管理者としての視点を得たい」というキャリア面での動機が大きいためです。

通常の看護業務とは違う、組織運営や人材育成の視点を体系的に学べるのは、ファーストレベル研修ならではです。将来的に主任や師長を目指す人だけでなく、部署をより良くしたい、後輩を育てたいという思いから受講を選ぶ看護師も少なくありません。

そこで得た視点は研修が終わった後も現場で活かすことができます。

しんどさは乗り越えられる。一人で抱え込まずサポートを活用しよう

ファーストレベル研修のしんどさは、時間的な制約や慣れない課題への戸惑いなど、いくつもの要因が重なって生まれるものです。

課題の書き方や進め方で迷ったり、一人で判断しきれない場面が出てきたりすることもあるでしょう。

そうしたときは一人で抱え込まず、講師や受講生仲間、専門的な添削サービスなど、頼れる相手を持っておくことが、しんどさを乗り越える近道になります。課題レポートの書き方そのものに不安がある方は、プロによる添削サービスの利用を検討してみませんか。

<参考サイト・文献>

2025年看護職員実態調査 報告書|日本看護協会

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