「ファーストレベルを受けてみたいけれど、まだ主任になっていないから資格がないのかな?」「主任になってから受けた方がいいのか、先に受けておいた方がいいのか分からない」
そんな迷いを抱えていませんか。ファーストレベルの受講要件に、主任といった役職は含まれていません。
この記事では、日本看護協会が定める受講要件や主任というキャリアとファーストレベルの関係、受講のタイミングの考え方などを解説します。今の自分が受講してよいのか、迷わず判断できるようになるはずです。
看護師のファーストレベル研修は主任でなくても受講できる
主任である必要はありません。日本看護協会が定める受講要件は「看護師免許」「実務経験5年以上」「管理業務への関心」の3つです。主任という役職は要件に含まれていません。
ただし、病院によっては院内選考で主任が優先されることがあるため、「主任じゃないと受けられない」と誤解されやすいのです。
日本看護協会が定める3つの受講要件
公益社団法人日本看護協会が定めるファーストレベルの受講要件は、次の3つです。
- 日本国の看護師免許を有する者
- 看護師免許取得後、実務経験が通算5年以上ある者
- 管理業務に関心がある者
主任や副看護師長などの肩書きがなくても、実務経験5年以上と管理業務への関心があれば申し込めます。
実際の研修には、看護師長や主任として管理職に就いている人もいれば、役職のない一般のスタッフとして参加している人もいました。また、年代も20代から60代までと幅広いのが実情です。
受講要件や研修時間、申し込みまでの流れについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
主任じゃないと受講できないと誤解されやすい理由
役職要件がないにもかかわらず誤解が生まれやすいのは、制度上の受講要件と、施設内の運用ルールが混同されやすいためです。
多くの病院では、研修枠に限りがあることから、上司の推薦や院内選考を経て受講者を決める仕組みを採っています。その際、主任クラス以上を優先的に推薦する施設もあり、「主任じゃないと選ばれない」という体験が広まった結果、公式な受講資格であるかのように誤解されているケースが見られます。
あくまで施設ごとの人選の話であり、日本看護協会が定める受講要件そのものではないという点を分けて理解しておくと安心です。
主任経験の有無でファーストレベル研修を受けるタイミング
主任になる前後、どちらのタイミングで受講しても問題ありませんが、その後のキャリアプランによって考え方が変わります。
主任になる前に受講するケース
まだ主任になっていない段階で受講する場合は、早いうちから管理の視点を身につけ、昇進の準備を整える位置づけになります。管理職を目指したい人も対象です。
- 管理視点:人員基準や物品配置の判断など管理者の視点を早くから理解できる
- 昇進準備:修了実績が推薦や選考のアピール材料になる場合もある
- 日常業務:後輩指導や委員会活動などで理論を応用できる
ただし、実務経験がない分、レポートで自部署の課題を描写しにくく、書き方につまずく受講生も少なくありません。
主任になってから受講するケース
すでに主任として働いている場合は、日々の管理業務で感じている課題を、研修の学びとすぐに結びつけやすい位置づけになります。
- 管理視点:勤務調整や後輩指導での判断を、理論やフレームワークに照らして「なぜそう対応してきたのか」を言語化できる
- 昇進準備:師長やセカンドレベルへのステップアップを見据え、主任としての実績を積み上げられる
- 日常業務:現場での具体的な事例に取り組めるため課題解決しやすい
主任としての経験があることで、研修内容を実践に落とし込みやすく、管理者としての視点をさらに深められるタイミングといえます。
セカンドレベル以降を見据えるなら受講要件を確認しておく
将来的にセカンドレベル・サードレベルへの進学も視野に入れているなら、レベルごとに受講要件が異なることを押さえておく必要があります。
| 課程 | 実務経験 | 役職・修了に関する要件 |
| ファーストレベル | 通算5年以上 | なし(管理業務への関心のみ) |
| セカンドレベル | 通算5年以上 | ファーストレベル修了者、または看護部長相当・副看護部長相当の職位に1年以上就いている者 |
| サードレベル | 通算5年以上 | セカンドレベル修了者、または看護部長相当・副看護部長相当の職位に1年以上就いている者 |
表のとおり、セカンドレベル以降は「副看護部長相当以上の役職」か「前段階の修了」のどちらかを満たす必要があります。
主任ではない筆者がファーストレベル研修を受講して感じたこと
筆者は主任ではなく一般スタッフの立場でファーストレベル研修を受講しました。
最初は「看護師長が推薦してくれたものの、主任でもない自分が受けて意味があるのだろうか」「周りが管理職ばかりだったらどうしよう」と不安でした。
しかし、受講してみると受講生の3割くらいは役職のない看護師であり、安心したことを覚えています。また、管理職として働く看護師から、現場での具体的な経験や悩みを踏まえた話を聞く機会もあり、業務では得られない多くの学びがありました。
さらに、これまで現場で感じていた疑問や課題を、管理者の視点から考えられるようになり、日々の業務に対する見方も変化しました。
主任になってから管理を学ぶのではなく、早い段階で管理の基礎を身につけておくことで、リーダーの役割を担う際にも役立つと感じています。
主任になる前にファーストレベル研修を受講するメリット

主任経験がなくても、現場の看護師としての視点を持ったまま管理を学べることは、この段階で受講するメリットです。
管理視点を早いうちから養える
現場でケアを担う立場のうちに管理の理論を学ぶと、「なぜその判断がされるのか」を組織の視点で考えられるようになります。
筆者も受講前に「なぜ夜勤はこのメンバーの組み合わせなのだろう」「なぜ今日はリーダー経験のある看護師が多く配置されているのだろう」と疑問に感じることがありました。
しかし、人材管理やリスクマネジメントを学んだことで、経験年数や急変対応能力、病棟全体のバランスを考慮して人員配置が決められていることを理解できるようになりました。また、物品購入や業務改善の提案がすぐに通らない理由も、予算や部署全体の優先順位を踏まえた判断だと分かり、現場の見え方が大きく変わりました。
昇進後に慌てず動けるようになる
管理の基礎知識を先に身につけておくことで、実際に主任を任されたときに、慌てずに役割へ移行しやすくなるというメリットもあります。
主任になると、以下のように、それまで経験してこなかった業務が一度に増えます。
- 勤務表の作成
- 新人看護師の指導計画の立案
- 他部署との調整
- ご家族からの相談対応
ファーストレベルで人材育成やコミュニケーションに関する理論の基礎を学んでおくと、こうした業務で学んだ枠組みに沿って優先順位をつけながら対応しやすくなります。
昇進してから初めて管理を学び始めると、日々の業務をこなしながら知識も追いつかせる必要があり、負担が大きくなりがちです。事前に基礎を押さえておくことは、その後の負担を軽減できることにもつながります。
後輩指導や日常業務にすぐ活かせる
学んだ理論は、役職に就く前から日々の業務に活かせます。
筆者も受講後は、新人指導で「できないこと」を指摘するだけでなく、「なぜできなかったのか」「どのような支援が必要か」を考えながら関わるようになりました。また、委員会活動でも、自分の意見を伝えるだけではなく、病棟全体への影響や優先順位を意識して提案できるようになったと感じています。
管理職になってから初めて実践するのではなく、今の立場で少しずつ取り入れることで、学びを現場に定着させやすくなるでしょう。
昇進の推薦・院内選考でアピール材料になりやすい
修了実績があることで、昇進の推薦や院内選考の際に、管理業務への意欲を示す材料になりやすい点もメリットです。
前述のとおり、修了したからといって主任昇進が保証されるわけではありませんが、研修枠が限られている施設では、学ぶ意欲を自分から示しておくことが、推薦を受けやすくなるきっかけになる場合もあります。
施設を越えたつながりができる
グループワークやスクーリングを通じて、他施設の受講生とつながりを持てることも、早い段階で受講するからこそのメリットです。
同じ立場で管理を学ぶ仲間ができると、自施設だけでは得にくい他院の運用や工夫を知る機会にもなります。役職に就いた後も、悩んだときに相談できる相手として関係が続くケースも少なくありません。
実際に、研修が終わった後でも、自施設での悩みをグループワークの仲間に聞いてもらえたり、受講生同士の食事会が開かれたり、定期的に集まったりする受講生グループもいます。
看護師のファーストレベルと主任に関するよくある質問
ファーストレベルと主任の関係について、よく寄せられる疑問にお答えします。
Q1.看護師長でもファーストレベルを受講できますか?
受講要件を満たしていれば、看護師長であっても受講できます。
ただし、看護師長相当・副看護部長相当の職位に1年以上就いている場合は、ファーストレベルを経ずにセカンドレベルへ進める要件もあります。すでに管理職としての実務経験が長い場合は、自分の状況に合わせてどちらから受講するかを検討するとよいでしょう。
Q2.主任じゃないと院内選考で受講を断られることはありますか?
施設の運用によっては、実質的にそうしたケースもあり得ます。
研修枠に限りがある施設では、上司の推薦や院内選考の基準として役職を考慮する場合があります。ただし、あくまで施設ごとの人選の仕組みです。
院内選考がある場合は、上司や教育担当者に、選考基準や次回の推薦時期を早めに相談しておくと見通しが立てやすくなります。
Q3.ファーストレベルを修了すれば、必ず主任になれますか?
修了したからといって、主任昇進が保証されるわけではありません。
主任への昇進は、施設ごとの人事基準や日々の業務評価など、複数の要素を踏まえて判断されます。ファーストレベルの修了は、管理職としての基礎を学んだことを示す材料の一つにはなりますが、それ単独で昇進が決まるものではない点は理解しておきましょう。
Q4.主任経験がない状態でファーストレベルを受講するのはしんどいですか?
主任経験がなくても受講できますが、管理者の視点で考えることや課題レポートに苦労する人は少なくありません。
筆者も主任ではない状態で受講しましたが、役職の有無よりも、看護実践を管理の視点へ切り替えることに難しさを感じました。詳しくは関連記事をご覧ください。

主任かどうかより、ファーストレベル研修の受講要件を満たしているかで判断しよう

ファーストレベルの受講要件に主任などの役職は含まれておらず、実務経験5年以上と管理業務への関心があれば、今の役職にかかわらず受講できます。
主任になる前後どちらのタイミングでも学べる内容なので、自分のキャリアプランに合わせて受講時期を検討してみましょう。
とはいえ、いざ受講が決まると「課題レポートをどう書けばいいのか分からない」という新たな不安が出てくることも少なくありません。そんなときは、プロによるレポート添削サービスの利用も検討してみませんか。
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